vol.3|香り豊かな「桜島小みかん」のパウダー
他の柑橘系と比べても、みかんは香りが少ないフルーツ。でも、どうにかして「本物のみかんの香り」が楽しめる洋菓子をつくれないものか…。
顔なじみの食品メーカーに相談したところ、教えてくれたのが「桜島小みかん」の存在でした。
「桜島小みかん」のパウダーを使うと、それだけで甘く爽やかな、みかん本来の香りをたっぷり加えることができるのだとか。
これは吉報!思い立ったが吉日!と、早速、「桜島小みかん」のパウダーを求めて鹿児島へ向かいました。
桜島の道の駅に着いた途端、驚いたのが、あたり一面に漂うみかんの香り。
みかんの旬の時期でもないのに…と理由を聞いたところ、みかんのパウダーをつくっている香りが一年を通して漂っているのだと言います。
活火山の島で、降灰にも負けず力強く育つ「桜島小みかん」は、和歌山の有田みかんに比べてひとまわりもふたまわりも小ぶり。でも、実にも皮にも鮮烈な香りがぎゅっと詰まっています。
この香り高い皮を捨ててしまうのはもったいないと、みかん農家の奥さんが天日干しにして、石臼で挽いたのが、「桜島小みかん」のパウダーのはじまり。胡椒に混ぜて香辛料として使ったり、ドレッシングに入れたりと、さまざまな形で活用されているようです。
その濃厚な香りを嗅がせてもらったときに、「これしかない!」と、ピンときたのです。
これで思い描いていたとおりの、みかん本来の香りをつけることができる。あとは、どんなお菓子に仕上げるか…。最後の試行錯誤がはじまりました。